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夢を見ましょう

インクに浸したペン先で、そっと、静かに。

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ゾンサバ #13

「バスター、あんた厄年だったりしない?」
 思わず恨み言めいた冗談を言いたくなるくらい、今の状況は笑えないものだった。一夜の宿としていた家にゾンビが押し入ってきたのだ。夜のことだったし気づくのが遅れた。そしてこの様――出口を塞がれ、カビだらけのキッチンに追い詰められている今に到る。
「マジどうすんのこれ」
「どうすべきかな」
「生きて出られる方法考えてよ」
 軽口の応酬になってしまうのは実は焦っている証拠だ。逃走生活も大分長い。体力馬鹿のバスターまで疲労の色を濃くしている。あたしが「こんな姿」になったことも、若しかすると影響しているのかも知れない。気にしていない素振りだが、気にならないわけがないから。

 わっとゾンビ共が一斉に飛び掛かってきた。下がるにもそこは壁で、万事休すかと思われた――が。

「ハチャァ!」

 奇妙な、けれども覇気の篭った掛け声と共に後続のゾンビが何体か吹っ飛ぶのが見えた。掛かってくるゾンビと応戦しながら目を凝らす。戦っているのは――、
「は・・・神父?」
「今の内に突破するのだ! 早くこちらへ!」
 言われるまま、あたし達は数の減ったゾンビの群れへ突っ込む。転んだ奴を踏み越えるようにすると案外さくさく向こう側へ進めた。ちらりと確認しただけだが、バスターも遅れてはいない。

 群れから飛び出しリビングへ転がり出る。当然追ってくるゾンビ共とあたし達の間に立ち塞がったのは、黒い司教服を着た老僧だ。彼の妙ちきりんな動きをあたしは知っている。カンフーというやつだ。独学で色々な体術を覚えている時期に見た覚えがある。
「あの、あなたは」
「自己紹介は後だ、お逃げなさい君達。ここは私に任せて、さあ!」
「ヒュー、カッコイイ、映画みたい」
 立ち上がり神父の隣を陣取ると、あたしは手近にあった椅子を引き寄せた。
「あたしもチャーリーズエンジェルに憧れてんのよねえ!」

 ――二人掛かりで群れは何とか撃退出来た。暗がりの中で戦うこと程やり辛いことは無い。何度かゾンビと間違えて相手を狙いそうになってしまった。どっかと床に座り込んだあたし達の傍へ、バスターが駆け寄ってくる。
「大丈夫ですか」
「ああ勿論。こちらのエンジェルがお強いものだから」
「やーねぇ、そっちのカンフーも凄かったじゃない」
 いやいや、と首を振る神父は満更でも無さそうである。恐らく自信があるのだろう。こんな老人が一人で居るのも、その自信が後ろ盾だからに違いない。
「神父様はどうしてここに?」
「ゾンビがここに入っていくのを見て、暫く様子を見ていたら話し声がしたものだからね」
 応戦しにきたのだと言う。全くありがたい限りだった。キッチンでゾンビに喰われるなど洒落にもならない。
「しかし・・・」
 バスターをしげしげと眺め回した神父は首を傾げ、
「君は見掛けの割に繊細なのかな?」
 聞かれたそいつが困り顔をしたので、返答はあたしが引き継ぐ。
「そいつ戦えないのよ」
「ほほう?」
「だから代わりにあたしがね」
「成る程強いわけだ。君が彼の守護天使なのだね」
 笑んだ神父に何も答えず肩を竦める。それを彼は照れと取ったようだった。

 しかしだね、と神父は更に言葉を続け――そこで一度唾を飲んで間を溜めた。
「実質一人で戦い続けるのは大変だろう。私は手隙だから、良ければ」
「ああ、あの、良いの。・・・連れを増やせない理由があってね」
 首を振るあたしを訝しげな視線で神父が見る。これは百聞は一見に如かずだろう。リビングの壁を蹴り破り、月光を浴びる。暗闇に慣れた目ならばあたしの現状を見るに十分事足りるはずだ。
 案の定、神父は息を呑んだ。
「・・・ね?」
「君は・・・そうか、そういうことかね」
 驚きに声を震わせたものの、神父はそれ以上何も言わなかった。けれどその代わり、あたしへ祈りを捧げてくれた。手助けの礼と祈りの礼、それと健闘を称え合い別れる。その際、神父がバスターに何か耳打ちをしていた。そしてあたしが幾らそれを尋ねても、こいつは絶対に教えてはくれなかった。


体力52→44/食糧63→61
アイテム:安全靴、寝袋/銀色の鍵(フラグB)
◆同行者は持てない→神父を置いていく

今日のS:【同行者】カンフーの達人な神父(アイテム扱い。3回まで【戦闘】で受けるダメージを0にできるが、連れている間毎日食糧1)が同行を申し出た。連れて行くかは好きにせよ。

今日のB:【戦闘】廃屋の中でゾンビの集団と遭遇! 出口をふさがれた! 8のダメージ!! フォロワーの助けを得られるなら5のダメージ!。 食糧:-2
http://shindanmaker.com/235938

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こちらは一次創作サイト Dreaming moomoo のブログであります。サイトへは上プラグインのリンクよりおいで下さいませ。
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