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夢を見ましょう

インクに浸したペン先で、そっと、静かに。

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小道具で10のお題【Junk pot】

マグカップ(エマージとミア)
一輪の花
眼鏡
ヴァイオリン
(グランハルト)
ヘッドフォン(マディ)

時計(レオハルト)
ぬいぐるみ(ヒナギク)
カード

Far side of the moon 様より。
http://fmoon.jougennotuki.com/

I-gnis進めろよ^^と言うのは良く、良く存じております。
分かっているんですが、SSSレベルのアレをただ書きたいと言うわけでして・・・!
続きから、ちまちま増やしていきます。

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ゾンビサバイバル #24

 その男に出会ったのは市街地のとある住宅密集地だった。正確にはその内の一軒の、厳重に戸締まりがなされた家が彼の根城だ。明らかに人の気配のするそこに目をつけたのは、あたし達の食糧袋の中身が乏しいからに他ならない。あわよくば幾らか分けてもらう腹積もりだったのだが、これがとんだケチ野郎。
「お前らにやる物なんて一つも無い! 大体、ゾンビに用なんて無いんだ!」
「俺達はゾンビじゃない、人間だ」
 こんな相手にも穏やかなバスターの声音でも、男の警戒心は容易には解けないらしい。あたしが居てもやれることが無い上、寧ろ逆効果になりかねない為、ここはバスターに任せて探索に回ることにした。見た所男は武器を持っていないし、それならバスターが大怪我を負うことなど先ず有り得ないからだ。鍵付き防衛ハウスを離れ、バットを肩で弾ませながら周囲を見渡し歩く。閑静な住宅街だ。ゾンビの気配も無い。
(多分どっかに隠れてんだわ)
 奴らは神出鬼没だ。知らない内に集まり襲い掛かってくる。全く厄介な連中だと思う。

 三ブロック程歩いた所でコンビニを見つけた。窓ガラスがまだ残っているのを見るに、荒らされていないのかも知れない。一縷の期待を胸に中へ入り込んだが、どうやら世の中そう上手くはいかないようだ。外観の綺麗さに比例して中も空っぽだった。きっと殆どはここの住民達に持っていかれてしまったのだろう。
「何だ・・・期待ハズレ」
 落胆の言葉を一つ残し、バスターの元へ戻ろうと思って――気がついた。

 何故、こんなに暗い?

 日が落ちるには早過ぎる。夕方とは言え、まだ夕日は地平線に掠ってもいないはずだ。なのに何故。答は簡単だ。振り向いたあたしの視界、窓ガラス一面に張り付くゾンビの群れ。
「だからこいつら嫌いなんだッ!」
 一体何処にこれだけ隠れていたのやら、先程まで静かだった町並みが俄かに咆哮でどよめいた。仕方無くあたしはバットを構える。ガラスが割れ、外のゾンビが中に雪崩込んできた。
「うりゃああああああっ!!」
 雄叫び一閃、振りかぶったバットがゾンビの頭部を潰す鈍い感触が掌に伝わり、気色悪さに背筋が寒くなる。とは言え、いちいち震えているわけにもいかない。悍気を奮う間も惜しみ、次々に迫るゾンビを沈めていくが、
「やだもう埒が明かない!」
 ――数が、多い。一人で捌き切れる量では最早無い。バスター・・・あいつが居たら、あたしを引っ張り出してくれるんだろうか。足を取られ転ぶ前の一瞬、やけに長い走馬灯みたいな一瞬の間に、あたしがそんなことを考えていた刹那。

「シェーラ!」

 聞き慣れた声と、見慣れた腕が、あたしの前に降って湧いた。考える暇も無いままあたしはその腕を掴み、腕はあたしを軽々と引き上げて、ゾンビの群れから引きずり出した。
「走れ、シェーラ、逃げよう」
 うん、と頷いたあたしの手を取り、バスターが走り出す。ふらついた足で半ば引きずられるようにあたしも走り、やがて街を抜けた辺りで漸く立ち止まった。肩で息をする二人は、どさりと地面に倒れて暫くは無言であった。

「・・・ありがと」
 沈黙を破ったのはあたし。謝礼を聞いたバスターはにっこり笑う。この顔は好きだ。
「で・・・あたしの方はからっきしだったけど、あんたは?」
 照れ隠しに話題を逸らしたのだけれど、これは案外功を奏し、彼はそうだったと掌を打ってからザックの口を開き、中を見せてくれた。缶詰の他、果物や野菜が増えている。新鮮な果物など久々にお目に掛かった。
「美味しそぉ」
「これは直ぐ腐ってしまうだろうから、今食べてしまおうか」
「賛成! あーっ美味しそう美味しそう!」
 ボロボロの身体に染み透る水分と甘味。その味が妙に美味しく感じられた。

体力13→5/食糧23→26
アイテム:安全靴、バット/銀色の鍵(クリアフラグB)
※安全靴:【探索】時食糧減少を1点抑える(最低1)
※バット:【戦闘】時ダメージを1点軽減(最低1)
※ハーフゾンビ化(シェーラ):永久にゾンビ化しない、同行者を持てない

今日のシェーラ:【アクシデント】ゾンビを恐れるあまり、立て籠もって食糧を独り占めする男を説得できるか? 今が17時~深夜1時なら成功、食糧+5。それ以外なら銃で撃たれ7のダメージ!
(判定→成功)

今日のバスター:【戦闘】廃棄されたコンビニを探索、収穫はなく出ようとするがなぜか外が暗い・・・? いや違う、窓にべったりとゾンビたちが密着しているのだ! 9のダメージ! 食糧:-2
http://shindanmaker.com/235938

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ゾンビサバイバル #23

 轟々と唸る水流。ここはそんなに流れの強い川ではなかったはずなのだが、折しも夜中降り続いた雨で水嵩が増したらしい。下流に向け、まるで竜の進撃のように波が駆け降りていく。
 そもそも、何故こんな危険な場所を渡る羽目になっているのか。元々川には木の橋が渡されているはずだった。粗末なものだったが穏やかな川には似合いの橋。けれども水嵩が増え、それはあっという間に流されてしまったらしい。事実、あたし達が辿り着いた時には橋など跡形も無くなっていたのだから。しかし跡形も無く、というのは事実ではなかった。橋の手摺りにされていたロープだけが辛うじて残っていたのである。それだけが今や命綱というわけだ。
「あっ」
 川の中程で急にバスターが声を上げたものだから、あたしも思わず「ひっ」と情けない声を上げてしまった。照れ隠しを兼ねた藪睨みも、その矛先に途方に暮れきった顔があるので気を削がれてしまったけれど。
「・・・何よ?」
「薬、流されてしまった」
「馬鹿ねほんと」
 所詮いざという時の保険だ。今失っても痛みは無い。それでもすまなそうな顔をする彼を、川から上がったら一番に殴ってやろうと思う。

 川を抜けた先は森。その先には小さな学校がある。ここらは自然が多いから子供の教育には持って来いだろう。
「シェーラ、少し休もうか」
 あたしに殴られた額を摩り摩り、バスターが言う。瘤になる程は殴っていないのだから、まだ手を離さないのは彼のひそやかな意趣返しのはずだ。
「まーちょっと寄ってっても良いわよね」
 木々の合間から見える赤い屋根を目指し、進む。珍しい木造のこじんまりした学舎。ここまではゾンビの手も届かないのか、綺麗なものだ。川に囲まれた環境も幸いしているのかも知れない。中も埃っぽいだけで荒らされた様子も無い。
「ここなら安全だったろうに」
「皆家に帰りたがったんでしょうよ」
「・・・」
 残念そうに肩を落とすそいつを無視して、椅子の一つにどっかと座り込んだ。今更選択の当否を嘆いても無駄だ。けれど優しいこいつは、何時までもその間違いを悔やむだろう。
 ・・・暫く一人にしてやろう。そう思って、彼を残して校内を漁りに出掛けた。めぼしい場所を埃に噎せながら探し回る。そうしていれば考えないで済むからだ。
(あいつから離れたのは、悲しみに暮れるあいつを、あたしが見ていらんないからさ)

 ――結局、戦利品は鉄製のバット一本だった。食糧の類が残っているわけは無いと思っていたし、武器になりそうなものがあっただけマシだ。ズルズルとバットで床を擦りながら教室を覗く。バスターは随分回復したようだった。あたしに気づき、にっこりと笑って見せたからだ。
「余計物騒になったな」
「何ですってえ?」
 バスターへバットを振り上げる。勿論冗談――半分は、だけれど。笑いながら防御を取る彼の、無防備な脇腹へフルスイング・・・寸でで止める。笑うあたしに、バスターは額の汗を拭ったようだ。
 日が暮れ始め、窓からオレンジの光を長く伸ばし出した。ここで長居している場合ではない。あたし達の目的地はまた別にあるのだ。
 病院警護。外敵から施設を守ってほしいというお触れを耳にしたのは最近だった。尋ねるまでも無く、行くと言うバスターに溜息を吐いた記憶が脳裏に浮かび上がる。
 とは言え、屋根も簡易ベッドも綺麗なシーツも暖かい炊き出しもあるのは魅力に違いない。結局メリットにあたしも負けた。院長からの「素性は問わない」という御達示も、今のあたしには有り難かった。それでも一応、ボロいマントを用意するつもりだけれど。
「ほら、さっさと行かないと。夜になったら襲撃者と鉢合わせかねないかんね」
「分かっている」
 あたしら二人の影が、長く伸びながら道の先に揺れた。



体力13→13/食糧29→26(更に#病院警護で-3)→23
アイテム:安全靴、バット/銀色の鍵(クリアフラグB)
※安全靴:【探索】時食糧減少を1点抑える(最低1)
※バット:【戦闘】時ダメージを1点軽減(最低1)
※ハーフゾンビ化(シェーラ):永久にゾンビ化しない、同行者を持てない

◆アイテム超過→治療薬をアクシデントで失い、バットを得る

今日のシェーラ:【探索】学校の用具置き場を捜索。バット(【戦闘】で受けるダメージ常に-1。最低1点は受ける)を得た! 実に手になじむぞ。食糧:-2

今日のバスター:【アクシデント】川を渡る途中、持ち物が流されてしまう。アイテムひとつを失う(持っていれば)。持っていなければあなたが流され、8のダメージ! いずれにせよ食糧:-2
http://shindanmaker.com/235938

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ゾンビサバイバル #22

 夢を見ていた気がするのだが、覚えていない。急に揺り動かされたせいで不定形にはなったけれど、見ていたのは確かだと思うのに。そんなことをぼんやり思いながら目を開けた。朝日・・・いや、この日の高さはもう昼近いはずだ。意識は目の前のコンクリートを焼く太陽光から、あたしをゆさゆさ揺すぶるバスターへ移る。くぁ、と欠伸をしたあたしに、そいつは困った顔で耳打ちした。
「ゾンビに周りを囲まれてるぞ」
 ――そういうことは早く言いなよ!

 幸いにもこのねぐらには地下室があり、その地下室から外へ出る扉もあった。家屋自体を取り囲んでいたゾンビ共もこちらはノーマーク。抜き足差し足で逃げながら、自分達の姿を想像しては笑いを堪えるのに必死になった。
「・・・あいつらが馬鹿で良かったね」
「全くだ」
 目覚めてから取り囲まれていることに気づいて蒼くなった、と笑うバスターを肘で小突く。笑えるのは無事脱出出来た安堵感からだ。とても良いことだと思うが、揶揄ってしまうのはご愛敬。
 ぎゅるる。
 唐突に、正午には似合いの音が鳴り渡った。辺りに音源は見当たらない。・・・ただ一人、目の前のこいつを除いては。
「バスター、今の」
 珍しく、彼の顔が真っ赤になっていた。口元を片手で覆い、きまり悪げに視線を逸らすというテンプレートな反応は、先程抑えた笑いを再点火させるに十分な威力で。
「あははははははっ、凄い音だったねえ!」
「シェーラ、笑いすぎだ、っ」
「しかも照れちゃって、あはははかーわいいったら、あはははは!」
 大笑いし過ぎて零れてきた涙を拭いながら、そういえばこいつが腹を空かせた様子を見せたのは初めてだと気がついた。何時も空腹を訴えるのはあたしが先で、バスターからは一度も無い。食糧も特別多く食べてはいない。実はずっと空きっ腹を抱えていたのだろうか。
「馬っ鹿ねぇ、あんた。さ、早く昼飯にしよう」
 今日は沢山、少ないながらに何時もより多めに食わせてやろう。


体力13→13/食糧32→29
アイテム:安全靴、治療薬/銀色の鍵(クリアフラグB)
※安全靴:【探索】時食糧減少を1点抑える(最低1)
※治療薬(ゾンビ化回復/使い捨て)
※ハーフゾンビ化(シェーラ):永久にゾンビ化しない、同行者を持てない

今日のシェーラ:【アクシデント】大量のゾンビに隠れ家周辺を囲まれている! うまくやりすごし脱出できるか!? 今が午前10時22時ならダメージなし。それ以外なら9のダメージ! 食糧:-2

今日のバスター:【休息】異様に腹が減る・・・いや、欲しいのは普通の食べ物だ。まだ大丈夫、ゾンビにはなっていない。と自分に言い聞かせつつ「現在HPの1割(端数切り捨て)」点の食糧を失う。
http://shindanmaker.com/235938

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ゾンビサバイバル #21

 唐突だが、話をしよう。あたしの家族の話だ。
 両親は離婚していて、あたしは母親と、弟のロビンは父親と暮らしていた。そして母親が死んで身一つになった時から人生経験と称して流浪するようになり、早二年。それなのに、碌でも無い人生を歩んでいるあたしだけが生き残っている現状なんて、笑ってしまう。父親の安否は不明だけれど、ロビンがあんなことになっている以上無事では無いのだろう。案外呆気なく天涯孤独になってしまったものだ。

 然るに、バスターにも同じく家族が居るはずだ。故人であれ存命であれ両親は確実に居る。けれどもあいつが家族の話をしたことは無かった。単に聞かれないからしなかっただけなのかも知れないが、ロビンの一件の時でさえ、あいつは身の上話をあたしにしていない。だから避けているのだと感じていた。
 あたしの知るバスターの全ては、あいつが馬鹿で、元軍人の癖に戦うことも出来ないお人よしというだけだ。

 そんな数少ない情報に新たな潤いが齎されたのはひょんなきっかけからだった。偶然にも荒らされずに残った高架下の壁が、生存者の災害掲示板代わりにされているのを見つけたのだ。落書きに紛れてはいたが間違い無く家族の安否を尋ね、連絡を乞い、再会を願うものである。

 ジェニーへ フランチェスカの家で待ってる、早く会いたい ママより
 シド 午前7時 鉄塔下にて毎日待つ ジョン
 ・・・エトセトラ、エトセトラ。

 数え切れない書き込みを何気無く追っている最中、ふとバスターを見たら一点を凝視したまま動かなくなっていた。
「何よ?」
 傍らから見上げる。随分高い位置に書かれた書き込みだ。こいつの目線と同じ位置、つまり同身長。相当でかい。

 バスター、連絡を請う
 キセキレイが死んだので援護求む ブレイズ

 あたしの怪訝そうな表情を見て取ったのだろう。こいつはカエルを呑んだような顔をして書き込みを指でなぞった。
「これは兄のものだ」
「えっ。あんた兄さん居たの?」
「同じ軍人だった」
 表情は少し苦くなった。兄との折り合いが良くないのかも。きっとこいつと同じような体格をした、こいつよりもずっと軍人らしい兄貴なのだろう。
「キセキレイが死んだって?」
 そこだけ意味が解らない。鳥が死んでも援護は要るまい。
「・・・暗号だ。足を、怪我したのだと」
 致命的だと思った。このご時世、足が悪くて生きてられる程甘くは無い。弾が五発入ったロシアンルーレットみたいなものだ。ならば援護に行くのかと問う。バスターはまだ渋い顔だったけれど根が優しいのだ、放ってはおけないらしく。結局あたしにもついて来てくれと頼んできた。勿論ついて行くに決まっている。
(ここでサヨナラかも知れないんだから)

 書き込みの下には良く分からない図形が添えられていたが、彼曰くそれは地図らしい。兄弟にだけ通ずるものなのか、軍のものなのかは知らないけれど。その地図に依れば彼の兄はカールトン通りのとある家に身を潜めているらしい。
 訪れてみた家はこじんまりとしていた。しかし窓には鎧戸、玄関階段にはオイルが撒かれ、小さいながら要塞の体を成している。
「わーお。あんたの兄貴ってロバート・ネビル博士?」
「はは、そうだったら治療薬を分けてもらえそうだな」
 密に生え揃った植え込みの、実は通れるようになっている部分を抜け、家の裏手で地下室へのドアを探した。ここから来訪を知らせろという指示らしい。けれど呼び鈴らしき紐を引いても反応は無い。
 あたし達が顔を見合わせた、その途端。扉の向こうで低い声が問うた。
「ヒバリ舞う空、王は何処ぞ?」
 ぽかんと大口を開けたあたしを差し置き、バスターが答える。
「虹の根元に」
 カチリと音がして、それからゴトゴトと重い物の動く音。次いで静かに扉が開いた。

 家主のネビル博士・・・もとい、ブレイズという男は想像に違わぬ人物だった。バスターより彫りが深く厳格な顔立ちで、性格を良く表している。バスターを柔とするなら彼は剛であり、なるほど兄弟の不仲も頷ける。要は馬が合わないのだ。
 ブレイズの出してくれた薄味のコーヒー(それでもコーヒーが飲めるなんて贅沢だ)をちびちび飲みながら、あたしは彼とバスターの会話へ耳を澄ませる。偉大なる軍人はハーフゾンビのあたしを信用出来ないらしく、話し合いに参加する権限を与えてくれなかったのだ。代わりにコーヒーはくれたけれど。

「あんなのを連れているなど正気か?」
「シェーラはまともだ。意思もある、問題は無い」
「だが奴らと同類に変わりない。ここで別れろ、食糧を分けてやるからこの先は一人で行ってもらえ」
「兄さん」
「バスター、聞き分けろ」

 コツコツと苛立たしげに杖で床を叩くブレイズを前に、バスターは黙り込んでしまった。
 ――正直、一人で行けと言われる予想はついていた。だからその選択をあいつが受け入れたなら、あたしは一人で行くつもりだった。元々一緒に居なくてはならない仲ではないし。
 けれど、バスターは力強く首を振った。
「嫌だ。シェーラを一人では行かせない」
「おい・・・何を言ってる」
「兄さんこそ何を言っている? あんな姿でも彼女は気丈に生き、戦っている。辛いだろう、好きでなったわけじゃないんだ。でもおれは気にしたことなど無いぞ。彼女は彼女だ、シェーラなのだから。
 おれはこの先も彼女と一緒に行く」
 こんなに主張を押し出したバスターを、あたしは見たことが無い。それは兄貴も同じだったのだろう。鳩が豆鉄砲喰らったような顔をしているから。それに多分、あたしも同じ顔をしているはず。
 行きずりの縁で出会い、成り行きで共に居た。戦えない彼を補う役割をあたしが担った。土に放り出した種に水をやったことなど一度も無い。どちらかが消えれば片方は先に行くだけの関係だった。けれど今、種が芽吹いていたことを知った。いつの間にかあたし達は共同体へと意識を変えていたらしい。
 バスターは立ち上がり、あたしからコーヒーカップを取り上げて手を掴んだ。
「行こう、シェーラ」
 それは頷かずとも連れてゆかれそうな声色で。しかし兄貴の方を振り返った彼の声は、やはりいつも通り優しかった。
「・・・また会おう、その時も二人で会いに来る」
 見送るブレイズの表情は苦く、あたしを見下ろしたバスターの顔とは正反対。それでも、こいつは兄を愛していることに変わりが無いのだろう。どんなにぶつかり合おうとも。

 その日の夜。すっかり暗くなった空の下、樹上の枝に寝そべってバスターの方へ顔を向けた。隣の大枝に跨がるあいつは視線に気づくと暢気に手を振ってきた。本当にお人よしな奴だ。それに馬鹿がつく程優しい。だからあたしは、何時までもこいつと居られるのだと思う。
「おやすみ」
 口だけで囁き、視線を空へ戻す。
 ――あの後見つけた食糧庫でまたゾンビに襲われたことさえ、水に流しても良い気分で。


体力21→13/食糧34→32
アイテム:安全靴、治療薬/銀色の鍵(クリアフラグB)
※安全靴:【探索】時食糧減少を1点抑える(最低1)
※治療薬(ゾンビ化回復/使い捨て)
※ハーフゾンビ化(シェーラ):永久にゾンビ化しない、同行者を持てない

今日のシェーラ:【アクシデント】同行者が、足を痛めた家族に再会。残念だがここでお別れだ。【同行者】を連れている場合、一人失い、今までのお礼に食糧10を得る。連れていない場合、食糧-2。

今日のバスター:【アクシデント】食料庫発見、だが大量のゾンビがそばにいる! 今が12~23時なら抜け穴を発見し、食糧+5。それ以外ならゾンビに襲い掛かられ8のダメージ!
http://shindanmaker.com/23593

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ゾンビサバイバル #20

 食糧も大分少なくなったから補充しよう。そう決めてのろのろと探索に出た昼過ぎ。今日は妙に薄ら寒く、厭な日になりそうだと思ったのだが。
「厭な予感ほどっ、当たるってやつ、ね!」
 見事予感は的中。今日も楽しい追いかけっこの始まりだ。
 路地裏に転がったごみ箱を飛び越えたつもりが、足に引っ掛かってつんのめってしまう。そんなあたしの腕をあっさり引き上げ、平衡を取り戻させるバスター。しかし彼もまた、覇気の無い走りぶりだ。以前ならもっと身軽に動けた、と思う。こうなったのは身体が腐ったせいか、それとも疲労か。
(どっちもよ、どっちも)

 食糧庫の周りには人間が集まり易いと学んででもいたのか、はたまた何かの偶然か。中の食糧を確かめる暇も無く、あたし達に襲い掛かってきたのは大量のゾンビだった。餌の多い所には往々にして捕食者が集まるものだが、これは幾ら何でも多過ぎる。ずらりと幾重にも並んだゾンビの群れを前にしてあたし達二人はあっという間に逃げ出した。恐怖より先に苛立ちを覚えてしまう辺り、慣れとは怖いものだ。
「空が、飛べたら、良いのに!」
「それは・・・おれも、思う」
「そーら、を、じゆうに、とび、たい、なっ」
 何処で聞いたのだったか、確か日本のアニメで使われていた歌の一節を口ずさむ。バスターも聞いたことがあったらしく、一緒にハモってくれた。ゾンビから逃げながら歌をハモるなんて、こんな非日常歓迎し難くはあるけれど。

 商店街の中は意外に複雑な地形で迷い易い。けれども同時に、敵を撒き易いということでもある。看板を踏み倒して屋根に上がるは、店内を通り抜けて裏口から隣の通りに出るは、あたし達の逃走ぶりもちょっとしたものだろう。
 ――が。
「こいつらトランシーバーとか持ってないよねぇ?」
 行く先々、何処からとも無くゾンビが湧いて出るのだ。それこそ実は裏で徒党を組んでいるのかを疑いたくなる程、華麗に先回りをされる。
「若しくは本能的なテレパシーか」
「やだ、やめてよ・・・」
 そんなキングの携帯電話みたいな能力は要らない、とあたしは肩を落として屋根から下へ飛び降りた。張り出した天幕でバウンド、上手く玉石敷きの通りへ着地。10点ね、と自己採点する間にも続々とゾンビが集まってくる始末。少しくらい浸らせてくれても良いではないか。
「バスター早く!」
「分かった」
 同じく天幕を使い地面へ――こいつの場合は自重に負け、天幕を破り裂いて下のオレンジ箱に突っ込んだが、何とか着地を果たして駆け出した。
 今日はまだまだだ先が長い。


体力32→21/食糧36→34
アイテム:安全靴、治療薬/銀色の鍵(クリアフラグB)
※安全靴:【探索】時食糧減少を1点抑える(最低1)
※治療薬(ゾンビ化回復/使い捨て)
※ハーフゾンビ化(シェーラ):永久にゾンビ化しない、同行者を持てない

今日のシェーラ:【アクシデント】次々襲い来るゾンビに、逃げた先々で追われ続ける! 奴ら、共謀でもしているのかと思うほどだ。「現在HPの1割」点のHPを失う(端数切り捨て)。食糧:-2

今日のバスター:【アクシデント】食料庫発見、だが大量のゾンビがそばにいる! 今が12~23時なら抜け穴を発見し、食糧+5。それ以外ならゾンビに襲い掛かられ8のダメージ!
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ゾンビサバイバル #19

 軍の基地を見つけたと告げるとバスターは一瞬だけ厭な顔をした。そういえばこいつは元々軍人らしいと聞いている。体格が良いから分かるには分かるが、向いていないと思う。
「武器が見つかるかも知れないっしょ」
 正直それは建前だった。本当の所は、昨日行き会った白衣の男の言葉が気になっていたから。もしこの騒動に裏があるなら軍は怪しい。若しくは大企業か。恐怖のアンブレラ社みたいに。

 しかし、内部へ潜り込んだあたし達が出会った奴らは心底最悪な奴らだった――軍人のゾンビが武器を使えるなど聞いていない。資料室を漁っていたあたし達の前に現れたゾンビ共は揃って防弾チョッキを着、手に手に銃までも持っていたのだ。まさか撃てまいと楽観したのも束の間、一斉射撃を受けて跳び上がった。――勝てるわけがないだろ!
 入り口を固められたせいで袋の鼠。咄嗟に築いた本棚バリケードは脆い。キッチンよりマシだけどこんな場所でも死にたくない!とあたしが歯噛みした所に、急に天の助けが舞い降りた。

「こっちだ」

 頭上からの声、通気孔の蓋越しに男の姿が見えた。彼は手早く蓋を蹴り落としてあたしへ手を伸ばし、「掴まれ、早く」 ゾンビの仲間じゃないんだろう、とその男――深くキャスケットを被っていて何とも言えないが、多分あたしよりも若い――は付け加えてあたしを急かす。それでも躊躇ったのを見て、バスターがあたしを担ぎ上げてその手を掴ませた。
「大丈夫だ、シェーラ」
 ・・・時折、こいつのくれる言葉が酷く的確で、あたしは本当に苦しく、けれど救われる。
 黒髪の彼はさっとあたしを引き上げ、バスターも続いて上がってきた。ダクトは狭かったが何とか全員通れる太さだ。彼によればこのまま外へと出られるらしい。きっとこの男(少年かな)も何かしらを求めて基地へ入り込んだのだろう。

 けれども外へ出たあたし達を待っていたのは、さっきのとはまた別の(だと信じたい)ゾンビ集団で。三人はあっという間に散開してしまい、結局休む間も無く別れてしまった。
「・・・名前も聞けてないわ」
「礼だけは先に言っておいて良かった」
「次会えたら良いけど」
 奴らを撒き、ぐたりと地に崩れ落ちて。しかし何故だか良い気分ではあった。生存者と行き会うのはやはり楽しい。無事でいてくれることを願おう。
「昨日薬貰っといて良かったよねぇ」
 あたしの手には病院でバスターの為に手に入れた薬。二人とも軍人ゾンビに弾を喰らって傷を負っていた。バスターは肩と腹に掠り傷。風穴が開かなくて良かったと思う。こっちは腹に一発喰らっていたけれど、そこからは腐った体液が零れただけで痛みも無かった。
(あたしは、どんどん腐っていく)
 パン、とガーゼを叩き立ち上がる。痛いとバスターが肩を跳ねさせたのを笑った。腐敗する思考を拭い去るには、笑いが一番だから。

 結局、日暮れまであちこち回ったけれど食糧は見当たらなかった。代わりに研究所で治療薬を見つけたが、これは腹の足しにはならない。寝床にした研究所の屋根の上、変わらない星空に薬を翳す。疑惑は生まれるが形になるまでの根拠を持たない。
 ――あたし達は、元の生活になんか戻れるのだろうか。


体力27→32(a_suka09の助け/敬称略)/食糧39→36(安全靴効果)
アイテム:安全靴、治療薬/銀色の鍵(クリアフラグB)
※安全靴:【探索】時食糧減少を1点抑える(最低1)
※治療薬(ゾンビ化回復/使い捨て)
※ハーフゾンビ化(シェーラ):永久にゾンビ化しない、同行者を持てない

◆アイテム超過→救急箱を使い、治療薬を得る

今日のシェーラ:【戦闘】軍事基地でゾンビの集団と遭遇! 元軍人なのか装備が硬い! 10のダメージ! フォロワーの助けを得られるなら5のダメージ。いずれにせよ食糧:-2

今日のバスター:【探索】廃棄された研究所を探索。治療薬(ゾンビ化しつつある者を元に戻す。使い捨て)を得た! ゾンビ発生をあらかじめ予期していたのだろうか、それとも・・・。 食糧:-2
http://shindanmaker.com/235938

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ゾンビサバイバル #18

 病院は嫌い。特に夜の病院は。リノリウムの床に蛍光灯の明かりが反射しているあの長い廊下も嫌いだし、ナースコールを次々取っては無表情で駆けていくナースも苦手だ。
 病院に掛かったのは幼い頃、しかもあたしがでなく弟がだった。酷い熱を出した弟は脱水症状を起こして緊急で運ばれていってしまったのだ。見舞いに行ったけれど、あたしは真っ白いシーツの上にぽつんと寝かされている弟が、管塗れになって泣いている弟が、まるで改造されてしまうみたいで怖かった。
『お姉ちゃん、ぼくを独りにしないで』

「――ラ・・・シェーラ?」
「あっ、な、何?」
 バスターの声で我に返った。そうだ、今は病院を探索中なのだった。シーツを取り上げたまま固まってしまっていたあたしを、バスターは心配げな顔で見てくる。そいつに何でもないと首を振った。
 何でもないのは本当だ。ただ少し・・・昔を思い出しただけ。
 と、ナースステーションから物音がした。あたしもバスターも咄嗟に身構える。・・・が、どうやらそれは人の話し声のようだった。片一方が引っ切り無しに喋り、もう一方がそれを宥めているような感じ。二人組の生存者か。

「・・・誰か居んの?」
 あたしが声を掛け、バスターが二人の元へ赴く。こいつは容姿こそ威圧的だが、人当たりは良い。こんな姿のあたしが出ていくよりは良いだろう。二人組はステーションの奥、薬品棚の陰に居るらしい。そこへ屈み込んだバスターは、やがて立ち上がってあたしを呼んだ。話がついたらしい。
 とは言え、あたしの姿を見た医者風の男は怯えた目をしていた。まあ仕方ないと思う。あたしでさえ、たまに鏡で自分を見るとビビるのだから。
「君は・・・本当にゾンビではないのか?」
「ゾンビだったら、こいつのこととっくに喰ってるよ」
 そう言ってバスターを指差す。これは信憑性があるはずだ。案の定、男は多少肩の力を抜いた。聞けば彼らは暫くここに潜んでいるらしい。引っ切り無しに呟く白衣の男は、医者の同僚なのだそうだ。
 白衣の男が呟く言葉は、ある一定の所で巻き戻ってしまう。壊れたテープレコーダーのようだ。今はiPodの時代だけれど。
「館って何のこと?」
 尋ねるが反応は無い。医者にも見当がつかないのだと言う。同僚とは言っても、研究内容は全く別で、お互いに干渉し合ったことも無い、と。ということはお手上げだ。――が、やはり何か引っ掛かった。
 例えば先日遭遇したつぎはぎのゾンビ。あれは確かに人造のものだった。裏で糸を引いている者が居てもおかしくは無い。

 考え込むあたしに、医者が怖ず怖ずと声を掛けてきた。
「大変すまないのだが・・・食糧を少し、分けてくれないか? 勿論ただでとは言わない」
 医者はぐるりと棚を見渡した。ここにあるものと交換、と言いたいのだろう。あたしは迷わず救急箱を手に取り、あたしの持っていたザックから食糧を渡してやった。
 救急箱を選んだのは、バスターの為だ。あいつが怪我をした時の為。勿論、そんなこと一言も言わなかったけれど。
 そんな思惑を知ってか知らずか(いやきっと知らないだろう)、バスターも肩から寝袋を下ろし、彼らに渡してやった。
「これも、良ければ」
 お人よし、とあたしが小突くと彼はにこりと笑った。その顔は嫌いではないから、今回は不問にしてやろう。荷物を下ろして軽くなった身体は、これも悪くないと告げているようだった。


体力27→27/食糧52→39(安全靴効果、計-2)
アイテム:安全靴、救急箱/銀色の鍵(クリアフラグB)
※安全靴:【探索】時食糧減少を1点抑える(最低1)
※救急箱(使用者HP10回復/使い捨て)
※ハーフゾンビ化(シェーラ):永久にゾンビ化しない、同行者を持てない

◆アイテム超過→寝袋を捨てる

今日のシェーラ:【探索】元医者らしき生存者と遭遇。食糧10を渡せば治療薬(ゾンビ化しつつある者を元に戻す。使い捨て)か救急箱(使用者のHPを10点回復。使い捨て)をくれる。食糧:-2

今日のバスター:【探索】うつろな目をした白衣姿の老人に遭遇。「すべては我々と“彼”の過ちだ……だが“アレ”がまだ、あの“館”に……」錯乱し会話にならない。館とは何だろう? 食糧:-3
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ゾンサバ #17

 街路に死体が多くなった。生存者は皆隠れながら生き延びている所為で中々行き会わないから、必然的に死体との遭遇率が高くなるだけだと思いたい。とある家へ潜ったあたしの足元に転がる死体二つを見下ろして、溜息を零した。以前見たものよりも凄惨な死に様。銃で一発なら未だしも、調理器具でやり合うなんて最悪だ。
 そして何より、もう死体如きでは何も感じない自分が空恐ろしい。感情の欠落はゾンビ化の所為ではなく、疲労によるものだ。
(つまり、人間誰でもこうなるってこと)
 ずるり、ずるりと引き摺られる腐肉を片足で踏みつけて引き千切る。多少の食糧を得たお陰で心は軽いが、こういう喪失には一抹の自嘲を禁じ得ない。骨が露出した右脚を、可哀相だと嘆くのはあたしではなくバスターの方。きっと更に酷くなった損壊を見て、あいつは哀しい顔をするだろう。

 予め決めておいた合流ポイントにはもうバスターが待っていた。表情が明るい。その表情が曇る前に、あたしはさっさと問い掛ける。
「何か見っけた?」
「ああ・・・広い公園を。随分綺麗なんだ」
 ――確かに、彼の見つけてきた公園は広く、綺麗だった。池にはまだ魚と鴨が生き残っていたし、芝生は青々としていて外の荒涼たる惨状が嘘のようだ。ごろりと寝転び、空を見上げる。
「・・・ピクニック来たいよねえ、こーゆートコ」
「サンドイッチとコーヒーを持って」
「そうそう」
 あはは、と笑いが零れた。希望はあくまで希望であり、現実ではない。あたし達がしがみついて離さない希望は風前の灯である。終わりの無い悪夢を前に人は膝を折る。ゴールが見えないのに走り続けることは出来ないのだ。
 けれど、今日は何故か素直に未来を思い描けた。そうだ、バスターとここへ来よう。サンドイッチとコーヒーを持って。
 いつか、この世界が元通りになったら。


体力23→27(寝袋効果)/食糧50→52
アイテム:安全靴、寝袋/銀色の鍵(フラグB)

今日のS:【探索】食糧のそばに男女の死体を発見。食べ物を巡ってお互い争い合ったようだ・・・自分もこうなるのだろうか。食糧:+4

今日のB:【休息】ゾンビの気配がない公園を見つけ、野営する。こんな時でも星は綺麗だ・・・。HP:+3 食糧:-2
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ゾンサバ #16

 玩具の銃がホンモノなら良いのに。小さなぼやきを聞きつけたのか、バスターが「全くだ」と返すのが耳に入った。現在、背中合わせのあたし達はそれぞれ玩具のショットガンを構えてゾンビ共と応戦中だ。銃の使い道はただ一つ。撃つのではなく、
「でりゃあああっ!!」
 ――殴るのだ。
 これは元々シューティングゲームに用いるはずの銃のレプリカで、そのゲームのジャンルはホラー。即ち、ゾンビシューティング。
「ほんと笑えない冗談よね!」
「本当に、せめて銃が本物なら・・・」
 本物でも撃てない癖に。あたしが肘でどつくとバスターから苦笑が降る。こいつは牽制と陽動は出来るが、未だに攻撃に手が出せないのだ。今の応戦でも、あたしの背中を襲われないように牽制しているだけ。殴りつけは出来ても頭を潰したりは出来ない。専らゾンビの殲滅はあたしの役目。独学で乱雑に習っただけのにわか体術がこんな形で役に立つとは、世の中上手く出来ているものだと思う。

 小一時間程経ったろうか。ゲームセンターで鉢合わせたゾンビの集団は一匹残らず片付いた。厳密に言えば全滅ではなく途中で何匹か逃げ出しているし、奴らが仲間を呼ばないとも限らないので移動は急ぐに超したことは無い。ぐったり疲れた身体を引き摺り、あたし達は街路を進んでいった。
 そういえば――この騒動が起きてから大分経つ。隻腕同士の珍道中も二週間以上は経ったのだから様にもなっているだろう。その間に兎に角色々なことが起きた。生存者と行き会えたりした良い思い出もあれば、ゾンビ化するだの怪我をするだの、悪い思い出もある。それら全てを引っくるめ、何とか今を生きているのだ。
「・・・あんたさーぁ」
 バスターに声を掛け・・・言葉を切った。不思議そうに首を傾げたバスターに何でも無いよと笑ってやる。
 聞けるわけが無かった。「あんた、あたしが居なくなったらどうすんの?」なんて。この身体は、長くは保たない。持ち主だから分かる。じわじわと腐り落ちていくし、激しく動けば肉を失う。そして元には戻らない。自然治癒も無い。
(あたしが死んだら、こいつは・・・)

 あ、と声が上がった。バスターの指が道の先を指す。大きなドラッグストア。しかし中を確かめたがろくなものは残っていなかった。
「シェーラ、奥に倉庫がある」
 見れば確かに倉庫らしき扉があった。販売前の品物はこちらにストックしておくのだ。開けば多少の物資は手に入るだろう――が。
「・・・無理。あたし今日はちょっと、もう」
 扉には錠とセキュリティロックが掛かっているようだった。錠を壊すのも一苦労。ロックが外れている保証も無い。何より、さっきの戦闘のダメージが酷い。壁に寄り掛かってずるずる座り込んだあたしの傍らに腰を下ろして、バスターがあたしの肩に手を掛ける。
「・・・食糧はまだある、大丈夫だ」
「・・・そうね」

(心配なのはそっちじゃないんだよバスター・・・あんたにどう伝えたら良いんだろう)


体力32→23/食糧54→50(安全靴効果)
アイテム:安全靴、寝袋/銀色の鍵(フラグB)

今日のS:【探索】食料庫発見! だが重い扉はひとりでは開きそうにない。【同行者】を連れているかフォロワーの助けを得られるなら食糧+7。さもなくば無駄骨に終わって食糧-3。

今日のバスター:【戦闘】ゲーセンでゾンビの集団と遭遇! 隣にゾンビゲーがあるのが悪い冗談のようだ! 9のダメージ! フォロワーの助けを得られるなら6のダメージ。 いずれにせよ食糧:-2
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