街路に死体が多くなった。生存者は皆隠れながら生き延びている所為で中々行き会わないから、必然的に死体との遭遇率が高くなるだけだと思いたい。とある家へ潜ったあたしの足元に転がる死体二つを見下ろして、溜息を零した。以前見たものよりも凄惨な死に様。銃で一発なら未だしも、調理器具でやり合うなんて最悪だ。
そして何より、もう死体如きでは何も感じない自分が空恐ろしい。感情の欠落はゾンビ化の所為ではなく、疲労によるものだ。
(つまり、人間誰でもこうなるってこと)
ずるり、ずるりと引き摺られる腐肉を片足で踏みつけて引き千切る。多少の食糧を得たお陰で心は軽いが、こういう喪失には一抹の自嘲を禁じ得ない。骨が露出した右脚を、可哀相だと嘆くのはあたしではなくバスターの方。きっと更に酷くなった損壊を見て、あいつは哀しい顔をするだろう。
予め決めておいた合流ポイントにはもうバスターが待っていた。表情が明るい。その表情が曇る前に、あたしはさっさと問い掛ける。
「何か見っけた?」
「ああ・・・広い公園を。随分綺麗なんだ」
――確かに、彼の見つけてきた公園は広く、綺麗だった。池にはまだ魚と鴨が生き残っていたし、芝生は青々としていて外の荒涼たる惨状が嘘のようだ。ごろりと寝転び、空を見上げる。
「・・・ピクニック来たいよねえ、こーゆートコ」
「サンドイッチとコーヒーを持って」
「そうそう」
あはは、と笑いが零れた。希望はあくまで希望であり、現実ではない。あたし達がしがみついて離さない希望は風前の灯である。終わりの無い悪夢を前に人は膝を折る。ゴールが見えないのに走り続けることは出来ないのだ。
けれど、今日は何故か素直に未来を思い描けた。そうだ、バスターとここへ来よう。サンドイッチとコーヒーを持って。
いつか、この世界が元通りになったら。
体力23→27(寝袋効果)/食糧50→52
アイテム:安全靴、寝袋/銀色の鍵(フラグB)
今日のS:【探索】食糧のそばに男女の死体を発見。食べ物を巡ってお互い争い合ったようだ・・・自分もこうなるのだろうか。食糧:+4
今日のB:【休息】ゾンビの気配がない公園を見つけ、野営する。こんな時でも星は綺麗だ・・・。HP:+3 食糧:-2
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