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夢を見ましょう

インクに浸したペン先で、そっと、静かに。

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ゾンサバ #4

 これは失策だった。猛スピードで瓦礫だらけの廊下を駆け抜けながら舌打ち――しようとしたが、口を開けると反動で舌を噛みそうになるので堪えた。角を曲がる。見つけたドアのノブを回すが動かない。蹴りつけても手応えが薄くて開く気配は無い。
「ボロボロの癖に、こういうとこだけ頑丈っ!」
 悪態を吐いたあたしの腕を掴み、バスターが走り出した。左手に右手を引っ張られているのはやたら走り難く、振り解いて駆ける。
「一人で平気」
「ああ、知っている」
「・・・あいつら足は遅いけど、しつこいね」
 先程曲がった角からぞろぞろとゾンビが溢れ出してきている。何を投げつけても追いかけてくるから堪ったものじゃない。

 ――待って。
 コンクリの塊を振りかぶった手を、止めた。
 嘘。脳味噌が否定を吐いた。けれど目が、理性が、「それ」を現実だと認めている。
 ゾンビ共の戦闘で蠢いているあの物体。あれは・・・あれは、とても見覚えのある姿をしているのではないか?

「ロ、ビ、ン・・・?」

 ――姉さん、こっちは無事だよ、今のとこ。父さんと避難するから、この留守電聞いたら連絡して。
(うそ、うそよ、こないだまでちゃんとあいつ――)
 口から飛び出しそうになる狼狽を噛み殺し、あたしは手の中の塊を握り締め直した。

(あたまを、ねらえば、××××。)

「シェーラ!」
 急に視界が揺れた。バスターがあたしを抱えて走り出したのだと気づいた。制止する間ももがく暇も無く、彼は窓をぶち破って隣家の屋根へ転がり落ちる。
「馬鹿、戻って!」
「出来ない」
 そう言ったこいつの頬に思い切り拳をぶち込んだ。バスターは何も言わずに血の混じった唾を吐き出し、あたしに視線を戻す。
「同情ならいらない!」
「違う」
 バスターはそれっきり黙ってしまった。無言で道の先を指す。逃げようの合図だ。

 あたし、分かっていた。今、弟を殺したらきっと壊れてしまうってこと。
 バスター、あんた、あたしを護りたかったって言うの?
 ・・・まさかね。


体力90→80/食糧86→81
アイテム:治療薬、寝袋

今日のS:【戦闘】なんということだ・・・見知った顔がゾンビになっている! 戦って安らかな眠りを与えるなら8のダメージ。戦いを避けて逃げるなら6のダメージ。食糧:-2

今日のB:【戦闘】足の遅いゾンビが襲ってきた! だが、攻撃してもその歩みはなかなか止まらない! じわじわと追い詰められる! 4のダメージ! 食糧:-3
http://shindanmaker.com/235938

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早蕨紫苑
性別:
非公開
自己紹介:
こちらは一次創作サイト Dreaming moomoo のブログであります。サイトへは上プラグインのリンクよりおいで下さいませ。
尚、当ブログ内に掲載されたSS、イラストの著作権は早蕨紫苑に帰属します。

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