夢を見ていた気がするのだが、覚えていない。急に揺り動かされたせいで不定形にはなったけれど、見ていたのは確かだと思うのに。そんなことをぼんやり思いながら目を開けた。朝日・・・いや、この日の高さはもう昼近いはずだ。意識は目の前のコンクリートを焼く太陽光から、あたしをゆさゆさ揺すぶるバスターへ移る。くぁ、と欠伸をしたあたしに、そいつは困った顔で耳打ちした。
「ゾンビに周りを囲まれてるぞ」
――そういうことは早く言いなよ!
幸いにもこのねぐらには地下室があり、その地下室から外へ出る扉もあった。家屋自体を取り囲んでいたゾンビ共もこちらはノーマーク。抜き足差し足で逃げながら、自分達の姿を想像しては笑いを堪えるのに必死になった。
「・・・あいつらが馬鹿で良かったね」
「全くだ」
目覚めてから取り囲まれていることに気づいて蒼くなった、と笑うバスターを肘で小突く。笑えるのは無事脱出出来た安堵感からだ。とても良いことだと思うが、揶揄ってしまうのはご愛敬。
ぎゅるる。
唐突に、正午には似合いの音が鳴り渡った。辺りに音源は見当たらない。・・・ただ一人、目の前のこいつを除いては。
「バスター、今の」
珍しく、彼の顔が真っ赤になっていた。口元を片手で覆い、きまり悪げに視線を逸らすというテンプレートな反応は、先程抑えた笑いを再点火させるに十分な威力で。
「あははははははっ、凄い音だったねえ!」
「シェーラ、笑いすぎだ、っ」
「しかも照れちゃって、あはははかーわいいったら、あはははは!」
大笑いし過ぎて零れてきた涙を拭いながら、そういえばこいつが腹を空かせた様子を見せたのは初めてだと気がついた。何時も空腹を訴えるのはあたしが先で、バスターからは一度も無い。食糧も特別多く食べてはいない。実はずっと空きっ腹を抱えていたのだろうか。
「馬っ鹿ねぇ、あんた。さ、早く昼飯にしよう」
今日は沢山、少ないながらに何時もより多めに食わせてやろう。
体力13→13/食糧32→29
アイテム:安全靴、治療薬/銀色の鍵(クリアフラグB)
※安全靴:【探索】時食糧減少を1点抑える(最低1)
※治療薬(ゾンビ化回復/使い捨て)
※ハーフゾンビ化(シェーラ):永久にゾンビ化しない、同行者を持てない
今日のシェーラ:【アクシデント】大量のゾンビに隠れ家周辺を囲まれている! うまくやりすごし脱出できるか!? 今が午前10時22時ならダメージなし。それ以外なら9のダメージ! 食糧:-2
今日のバスター:【休息】異様に腹が減る・・・いや、欲しいのは普通の食べ物だ。まだ大丈夫、ゾンビにはなっていない。と自分に言い聞かせつつ「現在HPの1割(端数切り捨て)」点の食糧を失う。
http://shindanmaker.com/235938
[0回]
PR